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血とキズナ

第6章 昔の俺と、今の君

 そんなリーゼントの言葉にリツは異議を申し立てた。


「えー、またお酒? ふつうに賭けしようよ、明日の昼代とかさ」


 ゲームセンターにあるレーシングゲームやアクションゲームなどは専ら下手くそなリツだが、トランプなどアナログで頭を使うゲームでは敵ナシだった。

 初めてのときは、法律でダメと言われているオカネを賭けたりもしていたが、一度、ビリが酒一気というルールでやってみると、リツが一滴も酒を口にしないうちに、リーゼントは潰れたのだ。

 それがよっぽど悔しかったのか、それからはずっとこんな感じだ。


「ウルッセ! やるっつったらやるんだよ!」

「ゲーセン行く前に潰れないようにね」

「んだとテメー!」

「ほら、配るから。――みんなもやる?」


 リツは鴇津たちを振り返った。

 しかしユウゴはばっさりとリツの誘いを断る。


「誰がやるかっ。
 トキツさんオレ飲みモン用意してきます」


 そう言って、ユウゴはさっさとカウンターの中に入っていった。

 もちろん佐山にはそんな度胸はなく、首がねじ切れるのではないかと思うほど首を振っている。

 そしてカウンター席のほうから、佐山を呼ぶ声が聞こえた。
 そこには松根と土井が座っていて、松根がちょいちょいと佐山を手招いていた。

 まるで救世主でも崇めるような顔で、佐山も足早にいなくなった。

 そして鴇津はと言えば、始めからこちらなど見ておらず、すでに他の席に腰を下ろしていた。

 店の奥まったところに鎮座する、L字型の真っ赤なソファで、鴇津はひとり、煙草をふかしていた。

 店の最奥部にあるそのソファは、紫鳳トップの特等席。

 そこになんの違和感もなく座る鴇津の凄さなど、リツは知らない。

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