血とキズナ
第6章 昔の俺と、今の君
「へぇ。凌一、ルール教えて」
三上は鴇津の隣へ体をねじ込んでくるが、いくら小柄とはいえ3人掛けのソファに男4人は無理がある。
入れないことを悟った三上は、すっとリツを睨みつけてきた。
「君、気が利かないな。早くどいてくんない?」
急な敵視に、リツは不意打ちを食らった。
「本当は君みたいな子が座れるようなところじゃないんだよ、ここは。
そもそもなんで当然のような顔でここに来れるわけ?
君は紫鳳のメンバーでもないし、むしろ敵なんだよね」
三上が、可愛らしい顔で毒を吐き出した。
どうやら、三上には相当嫌われているらしい。
「清春のカギ持ってるくせに、ケンカすらまともにできない腰抜けが、どの面下げてここにいるのか理解不能だね」
そういい捨てると、今度はソファから腰を上げ、みんなのほうへ向き直る。
「お前らも、こんな奴ここにいれるなよ。
ここは紫鳳の聖域で、清春の懐だ。
そんなところに、どこの誰ともわからないような馬の骨をいれるなんて信じられない。
さっ、みんな、早く追い出して」
三上がみんなの目を見ながらそう言うが、みんな隣同士目を合わせながら躊躇っている。
その反応に三上は、驚いたような表情を見せた。
「何してるの、僕の命令だよ。
僕の命令は最優先、紫鳳の掟だよ。掟に逆らった者は極刑って、わかってる?」
極刑。
東条直々の罰則。
ここは東条の強さを一番知っている者たちの集まり。
極刑の恐ろしさを一番知っている。
時雨の中にピリッと緊張感が走った。
リツはテーブルに置かれた山札から、カードを一枚引いた。