血とキズナ
第6章 昔の俺と、今の君
「じゃ、じゃあさ、みんなでカラオケ行こう。最近行ってないじゃん。
よし決まり! さあ、行こう」
三上がカラオケのあるほうへ歩き出すが、ついて行く者はいない。
そんな状況に、三上の拳が震え出す。
「なんだよっ、お前らおかしいんじゃないの!
僕は清春の特別だよ? そんな僕に逆らって、ただで済むと思ってんのっ!?
今まで僕の言うことは何でも聞いてたくせに。急になんだよ。そいつが来た途端なんだよ!
僕のことより、そんなわけわかんないヤツのほうが大事かよ!
今日のこと、全部清春に言ってやる!
松根! お前なんかクビだよクビ! 時雨に立ち入り禁止にしてやるから、覚えとけよ!」
かなりの剣幕に気を取られていたリツだったが、近くに気配を感じそっちを見やると、東条が仁王立ちで、そこにいた。
「あ、東条さん」
リツのつぶやきで、一斉にみんなの首が動く。
みなが複雑な表情を浮かべる中、三上だけは「清春っ!」ときれいな笑顔を咲かせている。
「聞いてよ清春。コイツらさぁ」
三上は得意気に、東条の元へ駆け寄っていった。
そして東条の凛とした言葉が響く。
「正洋。お前、調子にのりすぎだ」
「え?」と、三上タダヒロ。笑顔がすっと消えていく。
自分に言われたということを、自覚していないようだ。
「コイツらは俺の仲間だ。お前のイヌじゃない」
無表情に、三上を見下ろす東条。
さっきまでの威勢の良さは影を潜め、三上は子犬のように震えている。