血とキズナ
第6章 昔の俺と、今の君
「でも、何でもあいつらに言えって、清春が」
「確かに言ったな。
でもそれはお前のその見た目だからだ。
1年の頃、何回も男共に襲われてたからな。
ボディガードとして、こんな頼りがいのある奴らいねぇだろ」
ブレザーの上からでもわかる、東条の引き締まった長い両腕が広げられる。
その立ち姿に、みな息を飲んだ。
彼が、紫鳳のドンなんだなと、リツは改めて実感する。
「お前が、そんなのぼせ上がった考え方をするとは思わなかった。
極刑だなんて、言った覚えもないしな」
三上の身体がピクリと反応する。
それに気づいた橋元のこめかみに、青筋が立った。
「テメェ、ウソなんかつきやがって……ブッ殺す!」
三上の胸ぐらを掴み上げ、拳を振り上げる橋元の腕を、リツはとっさに止めた。
「離せリツ! 一発ぶん殴らなきゃ気が済まねえ!」
「いや、もうちょっと待ったほうがいいと思う。流れ的に」
感情的になっている橋元を、あくまでマイペースにたしなめる。
リツの腕の中で橋元は暴れ倒し、三上は両方の拳を顔の前に持ってきて、プルプルと震えていた。
その後ろで唐突に、東条がみんなに向かって頭を下げた。
ボスのまさかの行動に、橋元を始め皆の動きがビタッと止まる。
「みんなには迷惑をかけた。済まなかった」
それを一番間近でみる橋元は、顔を真っ青にした。
「や、ヤメてくださいよ! 俺ぁ別に……ッ!」
「俺の言葉足らずが原因で起きたことだからな」