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血とキズナ

第6章 昔の俺と、今の君

「あ、正洋。お前しばらくは時雨には来るなよ」


 放心状態だった三上の顔に表情が戻るが、それは血の気の引いた青い顔だった。


「そ、そんな……」


 やっと出てきた声は、蚊の鳴くような小さな声で、


「何かあったら俺に言ってきな。お前は別に、紫鳳のメンツじゃねんだから。
 でも俺はお前の家族だから、遠慮しなくていい」


 ひらひらと手を振り、橋元や松根らとゲーセンに向かう東条を見つめる三上の目に、もはや生気はなかった。

 東条の言葉の真意はわからない。

 傷つけるつもりだったのか、救うつもりだったのか。
 はたまた、何の気なしに言ったことなのか。

 しかし間違いないことは、三上が暗闇に突き落とされたということ。

 リツも橋元について行こうとしたが、ふと振り返ると、鴇津がそっとこちらに背を向け、時雨の前に置かれたバイクに跨がっていた。


「鴇津さん」


 リツは声をかけて走り寄る。


「みんなと行かないの?」

「ああ」


 バイクに跨がる鴇津の表情は、読みとりづらかった。
 不機嫌ではないが、良さそうでもない。


「何で?」


 バイクに座って目線が低くなった鴇津を、リツは見下ろす形になった。新鮮な光景だ。


「別に、元々ゲーセンなんて行きたかったわけじゃねぇし。
 駅前で、あんだけ人数がいりゃあ、わざわざ俺まで一緒に行くこともねぇだろ」

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