血とキズナ
第7章 ニセモノ
「そうなんだ。今時珍しくない?」
そんなリツとは裏腹に、リナは若干シワになっている雑誌をペラペラと眺めている。
「そうですかね」と、リツが言うと、リナは雑誌を閉じた。
「じゃあさ、リツくんてどんな子がタイプ?」
リナは、目をキラキラさせながら聞く。
「んー。どっちかっていうと、ちょっと抜けてる子がいいかな。可愛げあるし」
リツの答えに、リナは少し眉をしかめた。
「えっ、そんなのがタイプなの?」
「何でしかめっ面ですか」
「だってあんなの、男ウケ狙ってるだけの腹黒女よ」
「え、そうなんですか?」
「そうよ! 天然な女なんて、この世にいないのよ。全部計算した上での行動よ。
あんな女に騙される男なんて、こっちから願い下げだっての!!」
グシャッと、安東樹里の顔が潰れた。
「リナさん、もしかしてそういう女に彼氏でも取られたんですか?」
そう聞いた途端、リナの目がつり上がった。
「彼氏じゃないわよ!
ただ……ずっと見てて、アプローチしてたのに。なのにあの女がぁ……。
アタシの2年を返せェエエ!!」
「ウルセェ堀田! 仕事しろ仕事!」
裏から店長の怒号が飛んできた。
リナははっと我に帰り、容赦なく握り込んでいた安東樹里を伸ばして棚に戻した。
――いや、ムリだろ。と、リツはクシャクシャの安東樹里を回収した。
「だからいいリツくん、天然とかドジっことは、絶対付き合っちゃ駄目だからね」
元ヤン店長に怒鳴られたって、リナはけろっとしたものだ。 結構な大物である。