
血とキズナ
第7章 ニセモノ
「ありがとうございました」
去っていく九鬼の背中へ声をかけた。
最後の言葉に少し引っかかったが、九鬼が出て行くと同時に裏からリナが出てきた。
「気合い入った人だったわね。リツくんの学校の人?」
「はい、一コ上の先輩です」
「大丈夫? なんかツッコむとかツッコまないとか生々しいこと言ってたけど。
あの人って、そっち系?」
「いや、たぶん違いますね。穴なら何でもいい人みたいなんで。
あ、リナさんは会わないほうがいいですよ。リアルに危ないかも」
リツがそう忠告するが、リナは手を顎に置き、何かを考えている。
「リツくんが……。
うん――。
リツくんなら3次元でもアリかも」
「何の話っすか?」
「いや、なんでもない。こっちの話」
リツの頭上に疑問符が浮かんだ。
◆ ◆
「お疲れさまでしたー」
「またねリツくーん」
午後10時をすぎ、高校生組は帰宅となった。
人気のない真っ暗な駐車場に出ると、隣の山本がくいっとメガネを上げた。
「君、ほ、堀田さんの大学は知ってるの?」
「ああ、あそこの国際常福大学ですよね」
「常福って、結構レベル高いんだよ。なのにちゃんと勉強しながらバイトまでして、すごいちゃんとした人なんだよ。
だからさぁ、君みたいな人と釣り合う人じゃないんだよね。わかる?」
「ん――」
山本の真意が見えず、リツは曖昧な返事を返す。
