血とキズナ
第2章 腕
商店街の端に、地下へと続く階段がある。
ずいぶん前に潰れた喫茶店だが、そこが柴鳳上層部のみ入ることを許されるたまり場だ。
商店街の端にあるため、人気は少ない。
その階段の前に、中林たちは立った。
地下へと続く数段の階段。
その先に、光の漏れる扉がある。
暑くもないのに嫌な汗が背中を伝う。
「い、行くぞ」
「ああ……」
階段を下りる足は、より重くなる。
レトロな赤い扉。
それを前に、中林の心臓は今にも飛び出しそうだった。
気合いを絞り出し、中林は弱々しく扉を叩く。
曇りガラスの奥から、黒い影が近づいてくる。
目の前に立った黒い影は一瞬の制止したあと、扉を開けた。
現れたのは顔中に傷痕を拵えた大男だった。
「ああ? 誰だお前ら」
嗄れた声が、上から降ってくる。
「あ、あの……、俺たち、明日斗くんの連れで、と、東条さんと、そのことについて話したいと」
「ああ? テメエ、軽々しく東条さんの名前呼んでんじゃねえぞッ!」
地を這うような怒号に、中林の体は恐怖で震える。
「おいどうした土井、デカい声出して。
――誰だコイツら」
たばこを吹かしながら現れた坊主の男は、土井よりは小柄だが形相は土井と変わらず強面だ。
この迫力だが、着ているのは2人とも制服。
しかも中林と同じ、霧金高校のものだった。