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血とキズナ

第2章 腕

「知らねえよ。いきなし現れやがった」

「ああの、ボクたち……明日斗くんの友だちで……」
「あすとぉ?」

 坊主の男が煙を吐き出す。

「知らねえな。誰だそれ」
「えっ? ……あの」
「ま、ええわ、とりあえず入れや」


 がっちりと肩を押さえこまれた中林らは、店内に招き入れられた。

 赤を基調とした店内。

 バーのような薄暗い照明。

 見回せば、そこにいる全員が、今まで会ったこともないような気迫を纏っている。

 ここに足を踏み入れた瞬間、中林はこの先の道を切り開く力を削ぎ落とされた。

 そして悟る。

 俺なんかが来ていい場所じゃなかった――。


 テーブルに座っていた周りの男たちが7、8人立ち上がり、中林たちを囲む。


「誰かの後輩か?」
「知らねー顔だ」
「誰よこいつら」


 品定めをするように、中林たちの顔を覗いていく。

 ひと通り終わると、坊主が煙草を口にくわえた。


「誰の後輩でもねえってさ。
 つうことでワリィけど、お前らは敵と見なす」


 その言葉が合図となった。

 中林たちは8人の男たちからリンチを食らう。

 顔面に腹に、拳や足がめり込む。


「まッ……待っ、てッ!
 ア゛アズドくんは……東条さんっ、と、知り合いでッ――!」


 抗う気力などなかった。
 何とか言葉を発することが、精一杯だった。

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