
血とキズナ
第7章 ニセモノ
「鴇津くんが、わざわざ機会を作ってくれたんだ。少しぐらい話してもいいだろ?」
「そんなの俺の知ったことかよ!」
「鴇津くんは、僕のためにこんなことしてくれたわけじゃないよ。
リツのことが大事だから、僕に協力してくれたんだと思うよ?」
「なんだそれ! ――意味わかんねぇ…」
激しく怒鳴っていたリツだが、鴇津の名前が出た途端、その勢いが弱まった。
「友達が家族とギクシャクしてたら、誰だってどうにかしたいと思うだろ」
「家族なんかじゃねぇよ」
流星が、鴇津を利用してまで会いに来たことに腹が立ちすぎて考えが回らなかったが、普段の鴇津なら、こんな面倒なことなど丸無視するだろう。
いくら流星が姑息だからと言って、鴇津は、嫌々で流星の言いなりになるような人ではない。
鴇津にも、何かしらの考えがあってのことなのではないか。
だとしたら、このまま何もせず苛立ちながら帰るのは、すごく申し訳ないと思えてきた。
わざわざリツを呼び出して、芝居がかったことまでして、鴇津らしくないことのオンパレードだ。
そんな鴇津の行為をふいにするようなことは、リツにはできなかった。
「少しでいいから、話しをしてくれないか?」
「……5分だけだ」
「ありがとう」
満面の笑みで、流星は席に座り直した。
リツも、最高の仏頂面を携えて、腰を下ろす。
「そんなの俺の知ったことかよ!」
「鴇津くんは、僕のためにこんなことしてくれたわけじゃないよ。
リツのことが大事だから、僕に協力してくれたんだと思うよ?」
「なんだそれ! ――意味わかんねぇ…」
激しく怒鳴っていたリツだが、鴇津の名前が出た途端、その勢いが弱まった。
「友達が家族とギクシャクしてたら、誰だってどうにかしたいと思うだろ」
「家族なんかじゃねぇよ」
流星が、鴇津を利用してまで会いに来たことに腹が立ちすぎて考えが回らなかったが、普段の鴇津なら、こんな面倒なことなど丸無視するだろう。
いくら流星が姑息だからと言って、鴇津は、嫌々で流星の言いなりになるような人ではない。
鴇津にも、何かしらの考えがあってのことなのではないか。
だとしたら、このまま何もせず苛立ちながら帰るのは、すごく申し訳ないと思えてきた。
わざわざリツを呼び出して、芝居がかったことまでして、鴇津らしくないことのオンパレードだ。
そんな鴇津の行為をふいにするようなことは、リツにはできなかった。
「少しでいいから、話しをしてくれないか?」
「……5分だけだ」
「ありがとう」
満面の笑みで、流星は席に座り直した。
リツも、最高の仏頂面を携えて、腰を下ろす。
