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血とキズナ

第7章 ニセモノ

「そんなこと頼んでねぇだろ! なんでアンタがそんなことすんだよ! 関係ねぇだろ!?
 言ったろ、アンタなんか家族でもなんでもねぇって!

 アンタなんかに世話されるつもりねぇから。
 キモイから、ンなもん捨てろ。
 んで、二度と俺の前に顔見せんな。勝手に一人で生きてろよ」


 バンとテーブルに手のひらを叩きつけ、席を立った。

 ついでに、いつでも帰れるよう握り締めていた五百円玉を置き、足早に店を出た。

 流星の声が聞こえるが、知ったことではない。
 5分たったかどうかなんて、もうどうでもいい。

 外に出たリツは、目の前に構えるファーストフード店に駆け込んだ。

 追いかけてこられたらたまらない。

 身を隠しながら様子を窺っていると、やはり慌てた様子で流星が飛び出してきた。

 きょろきょろと周りを見渡し、リツの姿がないとみるや、霧金の寮のある方角へ走っていった。

 安堵で息をつく。

 店内の壁にもたれかかり、リツは徐にポケットから携帯を取り出した。

 着信履歴から番号を呼び出す。
 通話ボタンを押し、耳にあてた。

 4コールで繋がった。


「鴇津さん、今どこにいるの?」


 すでに怒りは収まっている。
 軽い口調で、電話口の鴇津に問いかけた。


『2階』

「え?」

『ここの2階』

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