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血とキズナ

第7章 ニセモノ

 見るとすぐ横に、二階へ続く階段があった。

 リツは携帯を耳にあてたまま、階段を上る。

 二階を見渡せば、昼時ということで、席はほとんどが埋まっていた。
 しかしその客の中で、派手に脱色した頭をしている人物は、一人しかいない。

 窓際の一人席に座る背中に近寄り、何も言わずリツは、鴇津の隣に腰を下ろした。

 携帯の通話を切り、ポケットにいれると、鴇津も窓に顔を向けたまま耳から携帯を外した。

 鴇津の手元にはハンバーガーの包み紙と、手のつけられたフライドポテトとコーヒーがあった。
 そこから下を見下ろせば、リツが今までいたカフェがある。

 鴇津は、ここでずっとリツを見ていたのだろう。

 鴇津はリツが隣に座っても、素知らぬ顔でコーヒーに口を付けている。


「あのカフェって、良く行くの?」


 鴇津のポテトを摘みながら、聞くと、鴇津は「ああ」と呟いた。


「あそこのココア、すげえ美味かったよ。
 今度はさ、一緒に行こう」


 その言葉に、鴇津の反応はない。
 一拍置いて、今度は鴇津がリツに疑問を投げかける。


「兄貴と話したのか」

「話したよ」

「どうだった」


 言いながら鴇津は、テーブルの下でそっと足を組み直した。

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