血とキズナ
第7章 ニセモノ
「お前、なんでそんなにあの人のことが嫌いなんだ」
鴇津は、リツのほうへ体を向け、やっとリツと視線を合わせた。
「言ったじゃん。あの人が俺に絡んでくるのは責任感じてるからなだけだって。
そういうの鬱陶しいもん」
ぱくぱくとポテトにかぶりつきながら言うリツを、鴇津は微妙な表情で見つめる。
「違うって言ってたぞ」
鴇津の一言に、リツのポテトを食べる手が止まる。
「たしかに“そのこと”は悪かったと思ってるし、謝ってすむことじゃないけど、俺は一生、お前の兄貴だって」
鴇津の言い草に、今度はリツが窓のほうを向き、鴇津から視線を外した。
「もしかして聞いた?
その、いろいろと、あの人から」
「ああ。――ごめん」
鴇津が謝ると、リツは首筋に手をやった。
「いや、いいんだけど。
隠してたわけじゃないし、わざわざ言うことでもなかっただけだから」
リツと流星は、親同士の結婚で兄弟になった。
リツは母親、流星は父親。
だから流星と父親とは、血が繋がっていない。
それを知ったのは、両親が死んだ一年後のこと――。
リツを引き取った父方の親戚が、話しているのを聞いてしまったのだ。
でも、事実はそれだけではなかった。
リツは椅子にもたれながら鴇津に問いかけた。