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血とキズナ

第2章 腕

 中林の心臓が、勢いよくはねた。
 そして、落ちていくような気がした。


「お前は、何をしに来たんだ?」

「あの……、カギは、持ってないですけど……。
 俺たち……、明日斗くんと、お……同じチームで。
 明日斗くん、柴鳳入りが決まってたから、だからっ、俺たちもアイサツしとこうと……」


「必要ない。俺がカギを渡したのは明日斗だ。
 お前も、チームも関係ない」

「で、でもっ、俺は明日斗くんの右腕で――」

「もういい。出せ」

「うす」


 男たちが中林らを羽交い締めにする。


「ちょ、ちょっと待――」

「東条さん、コイツらこのまま返していいんスか?」

「好きにしろ」


 東条の言葉に、男たちがニヤリと笑った。
 その顔を見て、中林は鳥肌が立った。


「ま、待ってッ。
 俺、カギの場所知ってます!」


 男たちの力が緩んだ。
 東条の影がむくりと動く。


「あの……教えるんで、その、俺たちを――……ッ!」


 ソファの真ん中に浮かぶ影から、まるで獣のような視線が睨む。

 それは静かで穏やかにも見えるが、とても交渉なんか口にできる空気じゃない。

 足の力が抜けた。
 がくりと首をもたげ、男たちに支えられてやっと立っていた。

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