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血とキズナ

第2章 腕

「今年霧金に入ってきた、C組の……綾野リツです」

「綾野リツ――」


 つぶやくと、東条はソファに深くもたれかかった。


「そいつは寮か」
「はい」

「何号室だ」
「……そこまでは」

「わかった。情報料代わりだ。そのまま帰してやりな」

「うす」


 中林たちは放心状態のまま店の外に放り出された。

 店内に静寂が戻る。


「良かったっすよ、カギの在処わかって。
 これで元通りっすね」

 土井がつぶやいた。

「でもアストなんて聞いたことないんすけど、そんな奴になんでカギなんて渡したんすか」

 坊主頭の男が、新しい煙草に火をつける。


「土井、松根」


 傷だらけの男と煙草をくわえた坊主頭が振り返る。


「綾野リツって奴。
 カギ持ってたら連れてこい。今日中だ」


 現在夜の7時を回っている。
 それでも2人は、ふたつ返事で了承した。


「うぃす、行こうぜ土井」

「おう」


 2人は軽い足取りで、店から出て行った。

 

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