
血とキズナ
第8章 レース
「テメエがこういう話に興味がねえのはわかってんだよ。
南高の話じゃなくて、リツの話だ」
“リツ”という単語に、鴇津のレーダーが反応する。
「今はオマエがバックに付いてるってんで誰も手出ししなくなってるが、その転校生はおそらく俺らすら敵に回すはずだ。
でなきゃこっちのシマに手ぇ出すようなバカなマネはしねえ。
そうなったら、リツもまた狙われるようになる。
もしそんな来たばっかのよそ者にカギが取られたとあっちゃ、紫鳳の地位は地に落ちる。
まあ、オマエにとっちゃ紫鳳の地位とかどうでもいいだろうけど、リツに関しちゃそうでもねんじゃねえの?」
そう言いながら、松根はイヤミな笑顔を浮かべる。
鴇津はそれを無表情に睨み返すと、言葉は何も発さず、教室をあとにした。
霧金の屋上は昔からのしきたりで、霧金のトップに君臨する者のみが立ち入るのを許される場所である。
つまり今は東条の場所ということだが、東条はそういったことにうるさい人間ではないので、誰が入ろうが何の制裁も与えやしないだろう。
とは言え、関係のない人間が来ることはない。
霧金の中で、静かに過ごせる唯一の場所だ。
鴇津が屋上を使う頻度は、間違いなく東条よりも多いだろう。
さてはそれが、寄りつく輩のいない要因かもしれない。
鴇津の領域という方が、ある意味恐れる人間も多い。
南高の話じゃなくて、リツの話だ」
“リツ”という単語に、鴇津のレーダーが反応する。
「今はオマエがバックに付いてるってんで誰も手出ししなくなってるが、その転校生はおそらく俺らすら敵に回すはずだ。
でなきゃこっちのシマに手ぇ出すようなバカなマネはしねえ。
そうなったら、リツもまた狙われるようになる。
もしそんな来たばっかのよそ者にカギが取られたとあっちゃ、紫鳳の地位は地に落ちる。
まあ、オマエにとっちゃ紫鳳の地位とかどうでもいいだろうけど、リツに関しちゃそうでもねんじゃねえの?」
そう言いながら、松根はイヤミな笑顔を浮かべる。
鴇津はそれを無表情に睨み返すと、言葉は何も発さず、教室をあとにした。
霧金の屋上は昔からのしきたりで、霧金のトップに君臨する者のみが立ち入るのを許される場所である。
つまり今は東条の場所ということだが、東条はそういったことにうるさい人間ではないので、誰が入ろうが何の制裁も与えやしないだろう。
とは言え、関係のない人間が来ることはない。
霧金の中で、静かに過ごせる唯一の場所だ。
鴇津が屋上を使う頻度は、間違いなく東条よりも多いだろう。
さてはそれが、寄りつく輩のいない要因かもしれない。
鴇津の領域という方が、ある意味恐れる人間も多い。
