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血とキズナ

第8章 レース

 それを読み終わるほぼ同時に、今度はユウゴの携帯が鳴った。
 それをのぞき込むとすぐに、ユウゴの瞳がぱっと明るくなる。

「トキツさん! 今日本丸峠で!」

「ああ、俺んとこにも来た」

 突然の鴇津とユウゴの会話に、リツはおいてけぼりをくらう。

「え、なに、なんの話?」

「オメーにはカンケーねーよ」

 ユウゴは白い目をリツに向ける。
 だがそんなユウゴに、リツは寄りかかった。

「そんなこと言わずに教えろよー」

「だあっ、テメーウッゼー! 殺すぞ!」

 鴇津はそんな二人を見ながら再びため息をつく。

「今夜2時に本丸峠でレースがある」

 鴇津が言うと、二人の動きがピタリと止まる。

「バイク乗りが集まって不定期に開催されるレースだ」

「へえー、そんなのがあるんだ」

 リツがユウゴにのしかかったままそういうと、ユウゴがリツを乱暴に押し戻す。

「でもただのレースじゃねぇ。いわゆる”賭けレース"ってやつだ」

「賭けレース?」

「そ。走る者同士金賭けて、買った奴が全取り。族連中が多いけど、たまにアマチュアレーサーとかも来てかなりレベルたけぇんだよ」

 リツは感心するように唸った。

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