血とキズナ
第2章 腕
◆ ◆
「くっそ~、クローゼット小せえよ。全然服が入らん」
必然と偶然は紙一重とはよく言ったものだ。
寮に入ってみると、リツと佐山はルームメイトだった。
6畳ほどの部屋に、シングルベッドが2つ。
そこに勉強机が2人分入れば、部屋はほぼ埋まった。
壁にはひとり一つずつ収納スペースがあるが、お世辞にも広いとは言えず、ダンボール3箱分の服がある佐山には狭すぎた。
「佐山、俺のほう空いてっから、使えば?」
「マジか、そりゃ助かる」
佐山がダンボールを持って、リツのほうのクローゼットを開けた。
「なんじゃこりゃ、空いてるどころかすかすかじゃねぇか」
「あーそうか?」
リツは、ベッドの上でごろごろと転がっている。
リツのクローゼットの中は、2つある引き出しのうち1つしか使われておらず、しかもかなりの余裕があった。
さらに掛ける所にはブレザーと、ダウンジャケットが一枚しか掛けられていなかった。
「お前、服どころかゲームとか雑誌も何もねえじゃん。エロ本はー?」
「ねえよそんなもん」
「えーなんでっ、健康男児の必需品だろ?」
リツが仰向けに寝っ転がっていると、佐山がベッドの上によじ登ってきた。