テキストサイズ

血とキズナ

第9章  


「おい、どうした?」


 急に変わったリツの表情に、佐山は声をかけた。


「いや、なんでもない。ーーとうっ!」


 リツは唐突にボールをつき佐山を抜いた。

 そのままリツはゴール下までドリブルで持って行き、シュートを決める。


「お前ずりーぞ!」

「ハハハ、勝ちは勝ちだ」


 ダンと、ゴールを通ったボールが床に弾む。


「10-0。佐山、お前弱すぎだな」

「だって、コイツがセコいから」

「ショッベーな。おら、代われ」


 島田がずかずかとリツの前にやってくる。

 佐山はぶつくさ言いながら、舞台の下に座り込んだ。


「そういえば、今日紫鳳の集会あんだっけ」

「ああ、緊急招集かかってな」


 ユウゴがボールをつき、リツの隙を窺いながら突っ込んだ。

 止めようするリツの前でユウゴは体をロールさせ、リツを抜いた。

 シュートもきっちり決める。


「へっ、余裕だぜ」

「ウグっ、なかなかやるな。ーーてか、集会あるんだ。なんか緊急なの?」


 リツの言葉に佐山の口が開く。


「なんでお前が知らないんだよ!」

「なんでって言われても」

「いいんだよ、こんな奴。紫鳳メンバーじゃねぇんだから」


 攻守が交代し、今度はリツがボールをつく。


「やっぱり南校のことだよな」


 運動後のコーラを飲みながら、佐山はユウゴに確認すると、ユウゴは頷いた。


「それ意外ないだろ」

「南校? なんかあったの?」

「オメーにゃ関係ねーよ」


 ユウゴの言い草に、リツはムッとした表情を見せる。


「よし。じゃあこれで俺が点取ったら教えること。いい?」

「いいぜ、絶対抜かせねぇ」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ