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血とキズナ

第2章 腕

 ベッドでごろごろしながらいうと、佐山の顔が何とも言えず歪む。


「リツってさ、意外と波瀾万丈な人生送ってんのな」

「そうかな」

「そうだよ、聞いたこっちが胸イテェよ……」


 うぅ…と、佐山は心臓を押さえている。


「そんな大袈裟なもんでもねえよ」


 リツは天井をじっと眺めた。


「親がいなくてもさ、親友が一人いりゃ、なんとかなるもんだよ」


 親が離れてまたくっついて、事故で死んで親戚に引き取られたけど、その過程が一つでも違っていたら、明日斗には出会えていなかった。

 そう思えば親の死も、救いようのない不幸とはならなかった。

 明日斗のおかげで世界が広がり、居場所を見つけることができた。

 今の自分が、明日斗のおかげでなりたっていることは、一分の疑いようもない。

 いつか、そのカリをを返したかった。


 だが返す前に、明日斗はいなくなってしまった。

 もうカリを返すことはできない。

 だからせめて、明日斗がやり残したことをやってやりたかった。


「その親友ってのが明日斗?」
「そ」

「大切な奴だったんだ」
「ああ。世界一」


 しんみりとした空気が流れたとき、部屋に聞き慣れた曲が流れた。

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