血とキズナ
第1章 約束のカギ
霧金高校1年C組。
リツは教室前に張り出された席順を確認すると、いちばん廊下側のいちばん前の席に座った。
リツは机にカバンを置いて、一息ついた。
落書きだらけの壁。
割られた窓。
机はまともに並んでもいない。
同級生と思われる男たちは教室や廊下で騒ぎまくっている。
公立の霧金男子高校はこの辺りでは有名で、札付きのワルしか通わない不良高校だ。
入学試験は、名前を書けさえすれば誰でも合格できるようなところで、頭が悪くてもまともな学生なら絶対に入らない。
そんな学校の入学式が始まるまであと10分ほど。
リツは時計を眺めていた。
「お前、見ない顔だな」
隣に顔を向けると、まず眩しいほど真っ白な金髪が目に飛び込んできた。
脱色しすぎて金髪というより、もはや白髪のようになった髪をキレイに逆立てている。
白髪で、ピアスリングじゃらじゃらな男だが、愛想のいい奴だ。
「どこ中から来た?」
「柏木中だけど」
「柏木? 俺、木田三中の佐山(サヤマ)ってんだけど、お前名前は?」
「綾野」
「アヤノ、やっぱ知らないな。俺、けっこうこの手の情報は豊富なはずなんだけど」