テキストサイズ

血とキズナ

第2章 腕

 
「3ヶ月かぁ……。きっちぃなぁ」

「やっぱ入学式はサボっちゃダメだよな」

「お前が言うか。
 ……ま、お前のそういうとこ好きだけど」


 佐山が白い目を向けてくるが、リツはそんなこと気にもしていない。


「リツはその叔母さんとかからなんも言われないのかよ」

「言うも何も、もう叔母さんたちとはなんの関係もないからな」

「え、でも一応その人たちが保護者ってことになってんじゃねぇの?」


 佐山はやっと1箱分の服を片づけ終えた。


「中学まではな。
 でも霧金に行くって言ったら縁切られた」

「はぐっ。
 お前どこまでワケアリなんだよ」


 佐山はまた難しい顔をして、片付けに入る。

 すると今度は、リツのケータイが震えた。

 机の上に置かれた折りたたみ式のケータイが、バイブレーションにより動き出す。

 しかしリツは画面に表示される名前を見るや否や、バイブを止めポケットに戻した。


「出なくていいのか?」

「ああ。どうせ大した用事じゃない」


 電話は本日3回目の、兄からだった。

 内容は佐山の母親と同じ、入学式に出なかったことについての詮索だろう。

 だがそんなこと兄には関係ない。
 兄とは、できる限り話したくなかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ