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血とキズナ

第2章 腕

「つか、もう7時すぎてるぜ」

「え、マジ、もうそんな時間?」


 寮の夕飯は6時から8時。
 そろそろ行かないと食いっぱぐれる。

 早々に片付けを終えたリツは、そのために佐山を待っていたのだが、いい加減待ちくたびれた。


「俺先行くわ」

「ちょっと待て、俺も行くって」


 リツは扉を開けながら「早くしろよ」と声を掛け、廊下に出た。

 扉を閉め壁に寄りかかると、知らない声が話しかけてきた。


「おい、綾野リツって奴いるか?」


 見れば、2人組の男が立っている。
 大柄な男と煙草を吹かした男。

 同じ制服を着ているが、どう見ても同世代には見えない出で立ちだ。


「俺がそうだけど」

「お前が? マジかよ」


 大柄な男は、じろじろと頭の先から足の先まで眺めてきた。


「弱そうだなお前。どこ中だ」


 ――ていうか、あんたらが何者だよ。

 人の名前を勝手に知ってる上、自己紹介もせずに出身中まで聞かれるなんて、不愉快きわまりない。

 眉にしわを寄せていると、煙草の男が言った。


「やめとけ。今はそんなこと関係ないだろ」


 すっと、腕で大柄の男を遮った。


「俺らは東条さんの遣いだ。
 お前が、東条さんのカギを持ってると聞いたんだが、本当か」

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