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血とキズナ

第2章 腕

 男は、煙草を右手に持ち替えた。

 柴鳳――。東条――。


「はい」

 リツは頷いた。

「そうか。じゃあ、俺たちと一緒に来てほしい。
 大人しく着いてくれば乱暴はしな」
「いいっすよ。行きましょ」


 リツは壁から背中を離す。

 リツの反応に、2人組は唖然とした。


「来てくれて助かりました。
 俺もそのうち会いに行こうと思ってたんすけど、どこにいるかわかんないし、そもそも俺東条って人の顔知らないしで、どうしようかと思ってて」


 リツはあっけらかんと、満面の笑みを浮かべる。


「まさか、そっちから来てくれるなんて、思いませんでしたよ。
 それじゃ、行きますか」

「あ、ああ」


 まるでリツに先導されるように、3人は寮をあとにした。


「おまたせ!」


 そして佐山が部屋から出てきたのは、それから一刻後。

「あれ、リツ?」

 誰もいなくなった廊下で、佐山はリツを探して周りを見回した。


 

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