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血とキズナ

第2章 腕

 そして半分ほど倒したとき、後ろに立つ男の姿を目の端で捉えた。

 リツは素早く振り返り、同様に拳をくり出す。

 しかしその腕は、冗談のように止められた。

 はっと顔を上げると、一際整った顔がリツを見つめていた。

 その顔に見惚れた隙に、左頬をぶん殴られた。

 すっ飛ぶほどの威力だったが、腕をがっちり押さえられていたため、その力がすべて肩にくる。

 痛みで呻き声をあげると、腕を背中にひね上げられ、リツはうつ伏せに押し倒された。


「ったく、驚いたね。闘い方もアイツと一緒か」


 東条は馬乗りになり、リツの腕と頭を押さえ込む。

 腕を振りほどこうと力を入れてみるが、びくともない。
 むしろ抵抗すればするほど締め上げられる。

 その体格からは、想像も付かないほど圧倒的な、有無を言わせぬような力であった。

 締め上げられているほうの手では、カギを握っている。

 リツは焦った。


「放せクソッ! このッ、放せっ!」


 ありったけの力で抵抗するが、周りの男たちに足までも押さえつけられて、もうどうにもならなかった。


「っくしょ――…」


 ここで取られて、すべて終わりだ――。

 リツは、カギが手のひらに食い込むほど強く握り込んだ。

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