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血とキズナ

第2章 腕

 
「最後のチャンスをやる」

 リツは、わずかに動く首を動かし、自分にまたがる東条を見上げた。


「大人しくこのカギを渡しな。そうしたらこのまま帰してやる。
 ただし最後まで反抗するようなら、ただじゃ済まさない」


 ギリギリと腕から嫌な音がしてくる。
 リツは歯を食いしりながら言った。


「いやだ」


 その言葉で、さらに腕が締まる。
 リツは額を床に押し付けた。


「いつまで我慢できるかな」


 じりじりと、腕が動かないほうへ持っていかれる。

 リツは歯を食いしばり、その痛みに耐えた。


「どっちにしろ、お前はもうこのカギは守れない。
 だったら無傷のまま帰ったほうが、得だと思うがな」


 そう言いながら、東条はじわじわとリツの腕に負荷をかけていく。

 それでもリツは、強くなる痛みにじっと耐える。


「言っとくが、これは脅しじゃない。
 このままカギを離さないなら、この腕、折るぜ。
 その上、お前はこのあと、今お前がぶっ倒した奴らからの制裁を受けることになる。

 死なねえまでも、今まで通りに体は動かなくなるかもしれない。その可愛い顔もひしゃげるかもな。
 それでもいいのか?」


 それでも、リツの拳は解けない。

 それから少しの沈黙が流れるが、やはりリツの拳は頑なだった。

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