テキストサイズ

血とキズナ

第3章 ノウテンキな男

「結構面接受けに行ったんだけどね、どっこも雇ってくんねえの。なんでだろ」

「そりゃあ、霧金通ってるってだけで、この辺では悪い印象しか持たれないだろうからなぁ」

「あ、そういうこと?」

「そうだよ。
 しかもお前ときたら、これ見よがしにケガしてるし、ヤバい奴だと思われるに決まってるよ」

「なるほどな」


 面接官の、何とも言えない顔の意味がわかった。

 それでは雇ってもらえないのも納得だ。


 しかしバイトができないと、寮費が払えない。

 遅くとも来月には働いていないと、いろいろと問題が出てくる。

 しかし腕の完治は1ヶ月。

 しかも、治ったところで働き口が決まるとも限らない。


 ――少しキビシい。


 そんなことを考えながら頭でボールを操っていると、突然フットサルの試合が中断し、騒がしくなった。

 その雰囲気に、リツはヘディングをやめた。

 佐山も、構えるようにすくりと立ち上がる。

 校庭の向こう側から、数人の男たちが校庭を横断してきた。

 おそらく上級生であろう男たちは6人。

 まっすぐリツのほうへ歩いてくる。

 そしてリツと対峙するなり、不躾なことを言ってきた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ