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血とキズナ

第3章 ノウテンキな男

「テメエが綾野リツか。貧弱だな」

 そう言ったリーダー格らしき男は、100キロはあろうかというがっちりした体格だ。

 そんな奴から見れば、どこの誰だって貧弱になるだろう。


「なんか用ですか」


 貧弱呼ばわりされたことに、少しイラつきながらリツは言ったが、彼らの用事は大体予想が付く。


「柴鳳のカギは、俺がもらう」


 その瞬間、他の5人が一斉に飛びかかってきた。

 リツはそれを後退りしながら避け、ダッシュで逃げた。

 佐山もそれに続く。

 それが予想外だったのか、男たちの動きが一瞬止まる。


「何やってんだっ、追え!」


 リーダーの一声で、全員がリツを追いかけだした。

 そしてリツは、佐山と校舎に向かって走っていく。


「毎度のことだけどさ、俺に付き合ってお前まで逃げなくてもいいんだぜ」

「そうだけどさ、なんか流れで」


 一週間前から、リツはこの手の連中に絡まれるようになった。

 どこから漏れたのか、あの日の翌日には、リツが柴鳳のカギを持っているという噂が流れていた。

 それからというもの、こんな輩が引っ切りなしにやってくる。

 そして、最初に釣られてリツと逃げることになった佐山は、それから毎回リツと一緒に逃走劇を繰り広げていた。

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