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血とキズナ

第1章 約束のカギ

 佐山は外のようすを、窓から覗きだす。

 外の人間に見つからないように、こそっと窓から顔を出している。


「うわぁ、ありゃ岩谷中の田中と港千中の倉橋だ。
 岩谷と港千は仲悪いからなぁ。
 しっかし入学式当日だぜ? 頭どっかおかしいって。
 しかも田中って双龍会がバックについてなかったか?

 はぁー、入学早々戦争になったりしないだろうな」


 リツは舌を巻いた。

 まじで全校生徒の名前と肩書き知ってんのかも。


「お前……よく知ってんな」

「まあ、面倒事に巻き込まれないようにするためには、こんくらいはな」

「なあ、じゃあ佐山さ」

「ん?」


 リツはブレザーのポケットに入れていた、カギを佐山に見せた。


「これの持ち主、誰だか知ってたりする?」


 紫の羽のキーホルダーがついた、バイクのカギ。

 このカギを持ち主に返す――。

 リツがこの学校に入学を決めた理由だった。


 登校していちばんに話した男が佐山のようなやつとは、こんなに早く手掛かりをつかめるなんて思っていなかった。

 ツイてる――。

 そう思っていると、佐山の表情が変わった。

「お前っ……!!」

 次の瞬間には、カギを隠すようにカギごと手を握りしめられていた。

 佐山がきょろきょろと辺りを見渡す。


「なんでお前がこんなもん持ってんだっ!?」


 なぜか小声で問いつめられる。

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