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血とキズナ

第3章 ノウテンキな男

「またお前はそんなことをしれっと……」

「いや別に、そんな珍しいことでもないだろ」

「そうかもしんねえけど、よくあることじゃねえよ」

「そお?」

「そおっ」


 佐山は腕を組み断言する。


「なんで電話出ないんだよ。話したいんじゃねえの?」

「かもな。でも俺には関係ないし」


 佐山は目を剥いた。

 リツが人をぞんざいに扱うことも珍しい。

 リツは自分を狙ってくるような奴でさえ、嫌な顔ひとつせず相手にするのに、血が繋がっていないとはいえ、兄にこんなことを言う。

 佐山は気になった。

 聞こうか聞くまいか迷っていると、今度は佐山のケータイが鳴った。

 相手は中学の頃の友達だ。


「おう、どうした?」


 出てみると、遊びのお誘いだ。
 ばらばらに進学した連れ達が集まるという。

 佐山は迷いながら、リツを見た。

 バイト誌に目を向けていたリツが、佐山の視線に気づくとひらひらと手を振った。


「行ってこいよ。別にお前がいてもいなくて変わんねえて」

「お前はホント……」


 笑顔で毒舌を吐くリツが、佐山は割り方好きだった。

「ていうか、お前もくるか? 考えてみりゃ学校にいるより安全じゃん」

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