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血とキズナ

第3章 ノウテンキな男

 リツのことを思って誘ってみたが、リツは考える間もなく首を振った。

「いや、やめとく」

「あ、そう」

 佐山が肩を落とす。

「そっか。じゃあ俺行くけど、気をつけろよ」

「おう」


 佐山は自分の食料を持って、保健室を出て行った。








 昼休みが終わり、リツはひとり教室に戻った。

 今日は珍しく誰にも絡まれず教室に帰ってこれた。

 5現が始まるまで、あと2分。

 リツはくあっと欠伸をした。

 ご飯を食べたあとの授業は、けっこうキツい。

 とはいうものの、霧金の学力は底辺の底辺なわけで、中学時代真面目に学校へ通っていたリツにとっては、簡単すぎる授業であった。

 1回や2回、授業を寝て過ごしたところで、支障はないだろう。

 いつも隣にいるおしゃべりがいないのもあって、眠気は一向になくならない。

 リツは欠伸を繰り返した。


「おい」


 そんなリツの前に、ひとりのクラスメートが現れた。

 背はリツよりも小さく、まだまだ幼さの残る少年、島田ユウゴである。


「鴇津さんから伝言だ。
 今日の放課後、屋上に来いってさ」

「トキツ?」


 リツはそうつぶやいて、首を傾げた。

 知っている名前だが、記憶がぼんやりしていて顔が出てこなかった。

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