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血とキズナ

第3章 ノウテンキな男

 そんなことが、リツの中では重要で、重大で、8人の男をぶちのめしてしまうぐらい頭に血の上ることだった。

 情けないったらない。

 でも、明日斗を悪く言われて、笑い飛ばす自分。
 そんな自分も、嫌だった。

 明日斗を貶されることだけは、たとえ人から見たら小さなことでも、きっとまた、同じことをする。

 嫌だけど、それでいいと思っている自分がいる。

 中林をぼこぼこに殴ったことも、なんだかんだ、今自分の中では正当化されてしまっている。

 明日斗を裏切ったんだから、当然の報いだと、心の奥底では思っている。


 ――昔となんら変わっちゃいない。俺は。


 鴇津もそう思っただろう。

 口だけの人間で、やってることはガキとなんら変わりないって、そう思っただろう。

 しかし、鴇津はリツの言葉にただ頷いた。

「そうか」

 それだけ言って、あとは何も言わなかった。

 リツは不思議に思いながら、鴇津の横顔を眺めた。

 すると、視界が急に反転した。


「おぉい!?」


 リツはぶっ倒れ、鴇津は柄にもなく声を上げた。

「おい、どうした」

「いや、なんか、急に目がくらくらと……」


 見れば、頭からドクドクと血が流れ出していた。

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