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血とキズナ

第4章 どうでもいい奴ら

「軽く軽トラに轢かれちゃってさぁ」

「わかりやすいウソつくな。
 逆に軽トラに跳ねられてその程度だったら上出来だぜ。

 で、今度は何やらかしたんだよ。正直に言え」

「なんでもないよ。もう済んだことだし」


 こういう状況のリツの主張は当てにならない。

 危機感がないのか、バカなのか。
 それとも周りに迷惑をかけたくないからか。

 リツの心底は見えにくい。

 隠しているのか天然か。
 それすらも判断が付かない。

 リツは意外に、掴み所のない奴だ。


「お前、コイツと同室か」


 抑揚のない声で、鴇津が佐山に言った。


「あ、はい」

「クラスは」

「一緒です」


 そういうと、鴇津は言葉を続けた。


「これから、ソイツを一人にしないようにしろ」

「え?」


 鴇津の言葉に反応したのはリツだった。


「いいって言ってんじゃん。佐山まで巻き込むなよ」

「どういうことっすか?」


 鴇津と正面切って話すのは肝を冷やすが、鴇津のほうがこの状況をちゃんと説明してくれそうなので、佐山は鴇津に話を聞いた。

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