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血とキズナ

第4章 どうでもいい奴ら

「ソイツ、九鬼に目ぇ付けられた」

「クキ!?」


 佐山は思わず声を上げる。


「クキってあの九鬼っすか!」

「ああ。お前は知ってんのか」

「当たり前っすよ! ある意味この学校で一番ヤバい奴じゃないっすか!
 なんでそんな奴に……」

「おおさすが佐山。よく知ってんなぁ」

「感心してる場合じゃねえよ! お前のことだぞ、わかってんのか!?」


 まっすぐな目で、リツは佐山を見つめている。

 その目には、一寸の淀みもなくて――。


 ――ああ、ダメだこいつ。
 ――全然わかってねぇ……。


「話すと長い。
 とにかく、ソイツが一人になんねえように見張っとけ」

「ハイ!」


 鴇津先輩がここまで言うんだ。
 間違いないのだろう。

 佐山は二つ返事で敬礼した。


「おい、本当にいいって。
 つか、目ぇ付けられたかだって、定かじゃねぇじゃん」

「佐山つったか。
 コレ、俺の番号だ。なんかあったら連絡しろ」

「うっす!」

「おい。人の話聞けって――」


 連絡先の書かれた紙を渡して、鴇津は帰っていった。



   ◆ ◆



「たく、ホントにお前は毎度毎度、よくそんなに面倒事を持ってくんな」

「いや、だから別に大したことじゃないんだって。
 これだって、本当はちょっと転けただけで」

「あー。もういいからっ」

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