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血とキズナ

第4章 どうでもいい奴ら

 鴇津が帰り、リツは佐山と部屋へ戻った。

 自分たちのベッドに腰を下ろし、息をつく。


「で、なんで九鬼に目付けられたんだよ」

「知らねえよ。ちょっと肩がぶつかっただけで。そしたらいきなりキスっぽいことされて」

「ブッ――!」


 リツのあられもない言葉に、佐山は吹き出した。


「キ、キスぅ!?」

「ぽいだよ。口に食いつかれただけだ」


 リツは面倒臭そうにそう言った。


「で、でも、チューだろ? 口と口がくっついたんだろ?
 なんでそんなへらっとしてんだよ!」

「あれをチューとは言わねえよ。
 野犬に噛まれたつったほうがしっくりくる」


 緊張感のない声で、リツはベッドに倒れ込んだ。


「だから、そんな気にすることねえって」

「バカッ! そんな簡単なこっちゃねえよ!
 相手はあの九鬼だぞ、目的のためなら何をするかわからない超ヤバい奴だよ。

 お前、そんなこと言ってっと本気でヤられるぞ。
 レイプだぞレイプ。男が男にレイプされたとか、シャレんなんねぇよ……」

「大袈裟な、同年代の男同士だぜ?
 百歩譲って、俺がそういう対象になってるとしたって、逃げるぐらいできるっつの」


 佐山が深いため息をつく。

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