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血とキズナ

第4章 どうでもいい奴ら

「まあ、もういいや。お前にゃどう説明したってわかってくれなさそうだし。

 ――とにかく、明日からぜってぇ一人になんなよ。
 登下校も教室移動も、トイレもだぞ。一人で行くなよ」

「うえ、トイレも? 勘弁しろよ。
 つかお前こそ、なんであっさりあの人の言うこと聞くんだよ」


 事情もほとんど聞かされず、佐山は鴇津からの見張れという命令をあっさり呑んだ。

 1日中人を見張るなんて七面倒臭いこと、なぜ率先してやろうとするのか、リツには理解できなかった。


「鴇津先輩のほうが、リツなんかよりずっと霧金にはくわしいからね、当然よ」

「なにそれ。
 俺ってそんなに信用ねえの?」

「ない。お前は能天気すぎる」

「ヒデェ。俺だって一生懸命生きてんのに」


 リツは口をとがらせ、拗ねてみた。

 すると佐山が、さらに質問をぶつけてくる。


「ところでさ、リツ、鴇津先輩ともなんかあった?」

「あ? なんで」

「いや、だってあの人、お前のことすげえ心配してたじゃん。
 リツになんかあったときのために、俺にまでケー番渡すぐらいだぜ?
 ――なんか怖ぇけどな、こんなもん貰っちまって……」


 佐山が一瞬、ぷるぷるっと震える。

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