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血とキズナ

第4章 どうでもいい奴ら

 保健室で応急処置してもらったとき、そのままの格好で外に出たら事件になるからと、遠藤が予備のジャージを貸してくれた。

 紙袋にいれて持って帰ってきた制服をリツは広げる。

 どろっと血にまみれた制服に、佐山は再びふきだす。


「おまっ、え、おま!?」


 佐山はリツのブレザーを引っ掴み、それとリツの顔を交互に覗き見る。


「これ、全部お前のか?」


 ブレザーについた血を見て、佐山は顔面を蒼白している。


「いや、全部ってわけじゃないと思うけど」


 正直ケンカのときの記憶は曖昧で、どれぐらいが相手のものだかは、まったくわからない。

 だが、肩の部分の血だまりは、リツが頭から垂らした物であることはわかる。

 そうすると――

 ほぼリツの血だ。


 蒼白だった佐山の顔色が変わる。

 血の気が戻ってきて、肩が震えだしたと思ったら、すごい勢いで睨みつけてきた。


「やっぱりお前は一人で行動すんの禁止ッ!
 九鬼の件がなくても禁止!

 お前自由にさしたら絶対いつか死ぬ!
 卒業するまで、単独行動絶対禁止ッ!! わかった!?」

「……ヘイ」


 佐山の剣幕にリツは後ずさった。

 しかし佐山の言い分に返す余地はなく、リツは渋々頷くしかなかった。






   ◆ ◆


 

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