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血とキズナ

第1章 約束のカギ

「じゃあこれは、その柴鳳っつうチームにいる誰かのってことか」

「バぁカッ、そんな簡単なこっちゃねんだよ!」


 ――なんか俺、佐山にバカって言われすぎじゃね?

 会ってまだ十数分。

 ちょっと心外だった。


「柴鳳には、地位の象徴として、バイクを受け継いでいく“しきたり”があるんだ。
 幹部仕様には、カギに白い羽のキーホルダーが付いてる。

 そんでこの紫の羽、これは総長仕様のキーホルダーだ。
 つまりこのカギは、柴鳳の総長の証なんだよ!」


 トイレに佐山の声が響きわたった。
 それに気づいた佐山は、はっと口を押さえる。

「聞かれてないよな?」

 と扉を開けて確認する。
 そして誰もいないことに安心し、佐山は息をつき扉を閉めた。

 そして佐山の話は当然のように続く。


「しかも、今の頭は今までの頭とは格が違う。
 そもそも柴鳳が100人を超えるデカいチームになったのは、あの人がトップになってからだ」

「あの人って」

「東条清春。
 15で頭に抜擢されたバケモノだよ」


 ということは、このカギはその“トウジョウ”という男のものと言うことだ。


「そんで東条が3年になった今年はもう最強だよ。
 ――そんな東条の愛車のカギを、何でお前が持ってんだよ……」


 頭を抱える佐山だが、一方のリツはカギをぷらぷらさせながら呑気なものである。

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