テキストサイズ

血とキズナ

第4章 どうでもいい奴ら

 
「先廊下出てるぞ」


 痺れを切らしたリツがベットから立ち上がった。


「あ、こらリツ。
 廊下出ても前みたいに知らない人についてくなよ」


 ガクッと、リツは転けた。


「お前ね、人を小学生みたいに言わないでくれる?」

「危機意識の無さは小坊並だお前は」

 リツは息を吐きながら、ドアノブに手をかけた。


「へいへい。知らないオジサンにはついて行かないよう気を付けますよ」


 佐山は心配しすぎだ。

 リツだって、そうそうヤバそうな奴らについて行くほどバカじゃない。

 それに、そんなにしょっちゅう部屋の前に誰かいるわけもないだろう。


 がちゃりと部屋を出ると、部屋の前には紫煙を天井に昇らせている鴇津の姿があった。


「あ」


 リツは思わず声を漏らした。
 鴇津がギロリとリツを睨む。

 その殺伐とした目は、いつもの数倍荒んでいる。


「オハヨウごさいます。
 すんません、待ちました?」


 鴇津はゆっくりとした動作で煙を吐き出した。

 そしてまた煙を吸い込む。


「…………」


 鴇津は一言も言葉を発しない。

 どうやら大分機嫌が斜めらしい。


「リツ、てめえ――」


 佐山の声が、扉の奥から響いてきた。

 そして、乱暴に扉が開く。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ