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血とキズナ

第4章 どうでもいい奴ら

「も、もうカンベンしてください! 何でもっ、何でもしますからッ、もうカンベンしてください!!」


 背を向けていては彼の顔は見えないが、殴られたりしたのだろう。
 顔が腫れているようで口が上手く回っていない。

 しかし九鬼は、昨日と同じアブナい目つきで、まるでご馳走を前にしたかのように、ゆっくりと唇を舐めた。

 すとんと、獲物を地面に下ろす。

 しかし足に力が入らないのか、彼は中腰の姿勢で九鬼に支えられている。


「下。脱ぎな」

「……ぇ?」


 九鬼の言葉に、野次馬たちがざわついた。

 当の本人は意味を理解できなかったのか、か細い声が不安げに漏れる。


「聞こえなかったか?
 ズボンとパンツ脱いで、テメエのチンコみんなの前で見せろって言ってんだ」


 その言葉に彼は、少しの間黙ったままだった。


「そんな……っ! カンベン、してください……」


 この人数の前で全裸になれと脅されて恐怖に震える彼を、九鬼は楽しそうに眺めている。


 ――たしかに、九鬼という男はある意味一番ヤバい奴かもしれない。


 やっと九鬼のヤバさがわかってきたところで、クラスメートの背中越しに、リツの視線が九鬼のそれと重なる。

 リツはドキッとする。

 そして九鬼は、口角を一層引き上げた。

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