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血とキズナ

第4章 どうでもいい奴ら

 しかし鴇津はリツの言い分など聞きやしない。


「うるせえ。俺はいいんだよ」


 有無を言わせぬ物言いに、ため息をついた。

 この男には、俺なんかが何を言ったって意味はない。

 諦めて、リツはゆっくり腰を上げた。

 すると突然、廊下に声が響く。


「トキツさん!」


 鴇津の登場で疎らになりつつあった人垣の奥から、鴇津を呼び止めた人物が姿を現す。

 出てきたのは、昨日リツに鴇津からの呼び出しを伝えにきた同級生、島田ユウゴであった。


「こんなとこまで来るなんて珍しいっスね!
 で、これなんの騒ぎっスか?」


 血気盛んな目つきで、ユウゴは辺り構わずガンを飛ばす。

 小さいくせに、態度はかなりでかい。
 そんなユウゴの威嚇に、皆すっと視線を反らしている。

 そこそこの地位と力はあるらしい。

 まあ、鴇津に自然と話しかけられるという時点で、それを物語っているが。


「そういやお前、コイツと同じクラスか」

「うッス、C組です」

「そうか、丁度よかった。
 お前、これからコイツ見張れ。絶対一人にするな」


 親指で示されたリツを見て、ユウゴは明らかに嫌な顔をした。

 しかしそれはリツも同じ。

 ――またSPみたいなのが一人増えた。

 どんどん大事になっていくと、リツはため息をついた。

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