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血とキズナ

第4章 どうでもいい奴ら

「なんでっスか? コイツ、トキツさんのなんなんスか」

「いいから、言うとおりにしろ」

「……。ウス」


 ユウゴは頷くが、不満そうな顔は消えない。


「じゃあ、昼にな」


 そう言って、鴇津は2年の教室へ帰っていった。


 鴇津がいなくなると、人集りも散り、いつもの喧騒とした廊下に戻った。

 そんな廊下で、ユウゴが不満たらたらに息を吐く。


「チッ、なんでお前なんかがトキツさんに気に入られてんだよ」


 ユウゴの言葉に、リツは疑問符を浮かべた。


「俺が? 別に気に入られてるわけじゃないと思うけど」


 ――だからって、だからなんで俺に構うのかって聞かれると、それは説明に困るが。


「あの人は、どうでもいい奴を守れなんて言わねぇよ。
 ――つか、そんなこともわからねぇ奴が、トキツさんに気に入られてるっつうのがスゲェムカつく……ッつうの!」


 不意に、足が跳んできた。
 それは見事に、リツの脛をえぐる。


「痛ッつ――な、何すんだよ!?」

「フン! しかも弱っちい。
 こんな奴の何がいいっつうだ! ワケわかんねェ!」

「脛蹴られりゃ誰だってこんな感じだろ!?
 ――まあ、たしかに、ケンカは別に強くねぇけどさ。

 だからっつうわけじゃないけど、いいよ、俺のことなんて放っといて」

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