テキストサイズ

血とキズナ

第4章 どうでもいい奴ら

 リツが脛から手を離し、すくっと立ち上がると、ユウゴの眉間からシワが消え、「あ?」と呆気にとられたような顔をした。


「あの人が大袈裟なんだよ。
 百歩譲って護衛がいるにしても、佐山だけで十分だって。
 だから島田も、あの人の言うことなんて気にしなくていいよ」


 リツはぽんぽんとユウゴの肩を叩き、教室へ入った。


「バッ、バカリツ!」


 そのあとを、佐山が追いかけた。

 倒された自分の机をマイペースに戻すリツに向かって、佐山は昨日何度も説明したことをまた繰り返す。


「リツ、いい加減自分の立場自覚しろよ。
 お前は今、レイプ魔に狙われてんだぞ。
 1人でも味方作っといたほうがいいんだって!」

「大事にしすぎなんだよ。
 関係ない島田まで巻き込むことないって。――ほら、これ佐山の机」

「ああ、ありがとう。
 ――って、人の話を聞きなさい!」

「聞いてるよ?」


 へらっと笑って、リツは自分の席に座った。

 そして佐山は、昨日から何度目かもわからないため息をつく。


「もうお前って奴はホントに……」


 佐山がガリガリと、キレイに逆立てた髪を掻きむしる。

 そんな佐山をよそに、ユウゴがぶすっとした顔でリツの前に立った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ