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血とキズナ

第4章 どうでもいい奴ら

「たしかにオレは、お前なんてどうだっていいし事情も知らねェけど、トキツさんからの命令だからな。
 引き受けたからには、徹底的に護衛してやっから、そのつもりでな」


 リツは口元を引きつらせた。
 それと同時に、気になることもあった。


「島田って、あの人と仲良いの?
 あの人には取り巻きなんかいないって聞いたけど」


 昨日佐山に聞いたことだ。
 舎弟も仲間も作らない一匹狼だと。


「島田だけは別なんだよ。
 同じ施設出身で、中学からツルんでる唯一の弟分」

「なんでテメエがオレの紹介してんだよ、気持ちワリいな、この情報オタクが」

「あ、ゴメン」


 リツが、すっと目を伏せる。


「施設か」


 思わずつぶやいたリツの一言に、ユウゴが噛みついた。


「ア? テメエなんか文句あんのかよ」


 ユウゴがリツの机に手を付き凄んでくるが、リツは気にも止めない。


「いや、懐かしい響きだなと思って」


 ユウゴの怒気がすっと消える。


「もしかして、お前も施設育ちか?」

「いや、俺の友達が」


 蚊の鳴くような声で、佐山が「あ……」とつぶやく。

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