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血とキズナ

第4章 どうでもいい奴ら

 明日斗も、小さい頃親が死んでから、施設で暮らしていた。

 不良で、あまり仲間も作らず、同じ施設で育った中林たちとしかツルまなかった。

 鴇津の姿が、明日斗と重なった。


「ふぅん。まあいいや。
 とにかく、オレはお前の護衛だからな、勝手に行動すんなよ」


 そういい捨てて、自分の席へ戻ろうとしたユウゴだが、それを佐山が止めた。

 何か一言二言話して、お互いにケータイを出して連絡先を交換している。


 リツは、初めて鴇津を見たときから、他人のような気がしなかった。

 だが理由は、わかっていなかった。

 生い立ちが似ていることを知った今、明日斗と重なったが、知らなかったさっきまでも、どこか鴇津には親近感を抱いていた。

 人を信用していない、一匹狼のようなところはたしかに明日斗と似ていたが、明日斗と鴇津には決定的に違うところがある。


 鴇津は笑わない。

 いつも殺伐とした目つきで、人を殺しそうなほどの、強い眼光を放っている。

 誰よりも強くて、恐怖すら感じる眼光。

 だがそこからは、明日斗のような“力”を、微塵も感じられなかった。

 眩しくて、見ているこっちまで元気になるような力を、明日斗は持っていた。

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