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血とキズナ

第4章 どうでもいい奴ら

 明日斗の周りはみんなが笑っていて、もちろん明日斗も毎日笑っていた。

 毎日バカやって、明日斗のおかげで、俺は救われた。

 人を良い方向へ変える力が、明日斗にはあった。


 だが鴇津は違う。

 鴇津から感じるのは光ではない。

 むしろ暗い何か。

 リツの嫌いなものだ。

 でも鴇津は嫌いじゃない。

 むしろ気になって仕方がない。


 何がそんなに気になるのか。

 鴇津から感じる親近感は何なのか。


 わからなくて、リツは机に突っ伏した。





   ◆ ◆





 四限目終了のチャイムが鳴り、教室を出て行く教師とすれ違いざまに、鴇津が姿を現した。

 その扉から一番近い位置に座るリツは、ばちっと鴇津の視線に重なる。


「早いっすね」


 思わず言葉が漏れた。


「お前はなにしでかすかわかんねぇからな」


 ――その言葉、ここ最近異様によく聞くようになった気がする。


 隣で佐山がぷっと吹き出す。
 リツはそんな佐山を横目に睨んだ。


「お前、いつもどこで飯食ってんだ? ここか」

「いや保健室だけど」

「保健室か、なるほどな」


 鴇津が右上を仰ぐ。

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