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血とキズナ

第4章 どうでもいい奴ら

「あの、何かマズかったですか?」


 佐山が遠慮がちに聞くが、鴇津は、いやと顔を戻す。


「そこでいい」


 鴇津が早速廊下へ足を踏み出そうとすると、教室の後ろからユウゴが足早にやってきた。


「鴇津さん、昼飯オレも一緒にいいっすか」


 ユウゴの顔は、アイドルを前にしたファンのように輝いている。


「好きにしな」


 素っ気ない鴇津の反応だったが、ユウゴは小さな身体で、小さくガッツポーズをした。

 一緒にご飯食べるだけなのに、嬉しそうにするユウゴを見て、リツは相当慕ってるんだなと、ほほえましく思った。








 保健室に着いた早々に、遠藤のほうから深いため息が聞こえた。


「なんか増えてるし」

 リツは遠藤のもとへ歩みよった。


「まあまあ、これあげるから元気出しなよ」


 机に向かって頭を抱える遠藤に、リツは昨日借りたジャージを差し出した。


「あーハイハイ。アリガトオ」


 紙袋に入ったそれを、遠藤は遠い目で受け取った。

 リツはいつもの定位置に戻ろうとするが、遠藤に腕を取られ阻止される。


「で、なんで鴇津が一緒なんだ」

「いや、よくわかんない。護衛だってさ」

「なんの」


 そこで、佐山がリツの肩口からひょっこり顔を出す。

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