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血とキズナ

第4章 どうでもいい奴ら

「九鬼対策だよ。
 コイツ、目ぇつけられたっぽくてさ」

「へぇ。お前もよくやらかすな」

「ちょっと遠藤ちゃん、反応薄くない?
 九鬼だよ。もっと心配してもよくない」

「別に大丈夫だろ、な?」


 見上げてくる遠藤に、リツは強く頷いた。


「そうそう。俺は大丈夫なんだよ。
 お前らが大げさすぎんの」


 きびすを返しベッドへ向かう。
 後ろで、佐山がため息をついたのが聞こえた。

 いつものベッドで、すでにユウゴが菓子パンの袋を開けていた。

 リツは、その隣に腰を下ろす。


「鴇津先輩と食べないの?」


 見れば鴇津はひとり、ベッドから離れた窓際で、おにぎりをかじっていた。

 先輩目当てできたはずなのに、近寄ろうともしないユウゴが、リツは少し気になった。

 しかしその問いに、ユウゴからの容赦ない足が飛んでくる。

 危うくベッドから落ちかけた。


「アホ。いいんだよ、俺は鴇津さんとおんなじ空間でメシを食えてるだけで十分なんだ」

「なんか、乙女みたいなこと言うね」

「ンだと、このッ」

「うわ、ちょ、落ちる落ちる」


 落とし落とされの攻防戦をしていると、佐山がやってきた。


「ふたりとも何やってんの、パン潰れてんぞ」

「うわっ、オレのやきそばパン!」


 ユウゴのパンが、リツの尻の下敷きになっていた。

 ほぼ逆ギレしたユウゴから、再びリツは蹴りをもらう。

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