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血とキズナ

第4章 どうでもいい奴ら

 1年コンビが凝然とする中、九鬼はベッドに近寄った。

 リツと重なるように座り、タウンワークに目を落とす横顔を凝視すると、九鬼はゆっくり舌なめずりをした。


「ウマそうだ」

「あ、これ? もう一個あるから食う?」


 九鬼のつぶやきに、リツはまだ食べていないハムサンドを、九鬼に差しだした 。

 リツの反応に、九鬼がくつくつと笑った。

 なにを笑われているのか、心当たりのないリツは首を傾げると、九鬼の筋張った手が、リツの顎にそっと触れた。
 軽く顎をあげられ、九鬼の顔が近づいてる。

 そして、気だるげに開いた九鬼の口が、リツのくわえるサンドイッチに、かぶりついた。

 リツの唇をかすめた九鬼の口は、サンドイッチを食いちぎると、しれっと離れていった。


「ご馳走サマ」


 九鬼はゆっくりと、サンドイッチを咀嚼している。

 1年生ふたりが呆然とする中、リツは何事もなかったように話し出した。


「そんな切れ端じゃなくてこっちあげるのに」

「こっちのが百倍ウマい。
 それに、こっちのが千倍満たされる、イロイロな」

「あそう? ならいいけど」

「よくねーよ! なに、今の。バカなの、オメーらアホなの!?」

 ユウゴが激しく取り乱した。

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