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血とキズナ

第4章 どうでもいい奴ら

「キモッ。男同士でなにしてくれてんだよ。キんモ。
 なに、ホモ? ホモなのおまえ」

「そんなんじゃないよ」

「俺はどっちもイケるけどな、ワりいな、ガキはキョーミねぇんだ」


 九鬼がユウゴの頭を撫でると、ユウゴはその手を激しく振り落とす。


「触んな! ホモが触れんじゃねえ!」

「キャンキャン吠えてウルサいね、おまえ。弱いイヌ?」


「んだと、このホモッ」


 残りのほとんどを食われたサンドイッチを、リツは口の中に納めた。

 そしてエキサイトしているふたりを後目に、リツはするっとベッドから下りる。


「ちょっとトイレー」


 誰に言うでもなく、リツはひとり保健室を出た。

 トイレは、保健室の目の前にある。

 用を足して、リツは洗面台の蛇口をひねった。
 流れ出る水に、両手を突っ込む。


 どうにも、日に日に周りが騒がしくなっていく気がしていた。

 佐山に会って紫鳳の存在を知り、全校生徒にはつけ狙われ、九鬼と知り合ってからは、行動をともにする知り合いが増えた。

 いたって、平和は日々である。

 平和で、でもちょっと騒がしくて、ちょうどいい塩梅の毎日を送れている。

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